視察レポート
2001年8月3日(金)、北川知事で有名な行政改革先進県である三重県庁を訪問しました。
この視察内容について、詳しくご報告したいと存じます。


最初に、7月14日(土)に放映されたNHKスペシャル「あなたも会社を変えられる」にも登場した8階の生活部を見学し、 ワンフロア化の取り組みについて伺いました。つぎに、環境部を見学し、ISO14001の取組み (ゴミの分別と回収)と三重県庁の環境ホームページのポイントについて解説を受けました。 そして、視察の主目的であった三重県の行政システム改革に関しては、三重県の北川知事のリーダーシップのもと、 実際の行政改革を担当されている幹部職員の方々から、本音を交えた説明を3時間に渡ってお聞きすることができ、 大変有意義な1日でした。詳細は以下の通りです。

生活部について環境部について行政システム改革について


生活部について

ワンフロア化とは、分散した生活部の各課を8階のフロアに集中し、今まで各課を隔てていた間仕切りをなくしたものですが、 個人デスクの廃止、フリーアドレスの導入、OAフロア化によって、個々の職員が持つ知識・ノウハウを集め、部全体で活用することで、 施策と仕事のやり方を変え、住民の満足度をより高めるための体制を整えることを目的として導入されたものです。


ワンフロア化の効果としては、フロアの面積、ロッカー数、コピー機、事務用品、購読新聞の削減などによるコスト削減と管理職のワンテーブル化による支援関係の構築、部員のコミュニケーション機会の増加などの説明がありました。 今後の取組みとしては、情報共有化を目的とした職員相互の信頼関係づくり、協力して課題に取り組むことのできる組織力強化を実現するためのミーティングの活用、さらに、スピード感のある組織を目指した組織のフラットなどを行い、政策、施策の開発に取り組んでいくことでした。


環境部について

環境部では、ゴミ箱の種類、容器、スペースなどを見学しながら、ゴミの分別 ・回収・活用方法について具体的な説明を受けました。 これは、三重県が本庁と周辺庁舎を対象に、平成12年にISO14001を取得したことに基づいた、 環境負荷を減らすための継続的改善への取組みとのことでした。
つぎに「みんなで作ろう! 三重県の環境」というホームページ(http//www.eco.pref.mie.jp
についての説明を受けました。 最新情報である今日のニュースを継続的に更新していく体制作り、産業廃棄物税の創設などトピックスの考え方、 環境ワンダーランドという環境学習のコーナー、双方向のコミュニケーションの場であるみんなの交流広場、 さらに、三重の環境の見張り番として、「みえこ」という新しいキャラクターを作った話など、大変興味深く聞きました。


行政システム改革について

三重県が全国的に注目を浴びている行政システム改革に関しては、平成7年度の北川知事就任時から現在にいたる取組みの全体像、方向性について説明を受けました。主な内容は以下の通りです。

1.さわやか運動
平成7年に北川知事が就任した年に始まった三重県庁職員の意識改革のことで、さわやかとは、 「サービス、わかりやすさ、やる気、改革」の頭文字からとったものです。

2.事務事業評価のシステム導入
平成8年から導入されたシステムですが、県の実施する事務事業に対して、業績測定、目標の数値化など、評価の視点を取り入れた仕組みのことで、意識改革や行政形成能力の向上につなげることを目標として導入されました。導入に際しては、反発も多かったとのコメントがありましたが、この年に発覚したカラ出張問題から大きく職員の意識が変わったとのことです。このシステムは毎年改善・改良が積み重ねられていますが、評価内容が住民に分かりにくい、成果を確かめる必要がある、職員の作業負担感が大きいなどの課題があり、今後さらに改善し、新たな政策推進システムへ発展させていきたいとの説明がありました。

3.新しい総合計画「三重のくにづくり宣言」の策定
平成9年に策定された総合計画ですが、共につくる(すべて行政がやるのではない)という考え方を基本に、 「くにづくり」における県の役割を明確にし、上記の事務事業評価システムを念頭においた政策を体系と880数値目標が設定されています。三田市でも現在第3次総合計画の策定が進められていますが、ぜひ参考にしたいと考えています。

4.行政システム改革
平成10年から進められているもので、三つのキーワード、「分権・自立」、「公開・参画」、「簡素・効率」 に基づいた21項目の改革が挙げられています。平成11年の北川知事2期目からは、「率先実行」として、 職員自身の内からの改革へとバージョンアップが図られています。さらに今後の行政システムの構造的な改革の集大成としては、 行政経営品質向上運動の取組み、予算編成過程の要求状況の公表など予算編成システムの改革、政策推進システムの構築などによって 21世紀の「エクセレント・ガバメント」を目指し、住民満足度と職員満足度を向上させていただきたいとの説明がありました。


三重県で改革が進んだ理由として、北川知事のリーダーシップ、改革の必要性を感じていた職員の存在などを挙げられましたが、具体的な北川知事の仕事の進め方、職員とのやり取りや気持ちなど本音ベースでの話も聞け、大変参考になりました。三重県と三田市では規模が異なりますが、これからの地方分権の時代における地方自治体のあるべき姿として、大変勉強になった視察でした。今後も市政において、出来ることから少しでも働きかけていければと考えています。

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